4.トゥーファイブ


【トゥーファイブ】

トゥーファイブとは一般的にはⅡm→Ⅴ7→ⅠMのコード進行のことを言います。ジャズではよく使われますね。実際に鍵盤上でこのコードを弾くだけでもなかなかジャズチックな響きを感じられます。

 

トゥーファイブを行う際には、Ⅱm→Ⅴ7→○の最後の部分は必ずⅠMを弾かなければいけないわけではありません。Ⅱm→Ⅴ7→Ⅰmで暗い感じに解決することもできますし、Ⅱm→Ⅴ7→Ⅲm等でさらに進行を続けていくこともできます。

 

そして、このコード進行の真骨頂は転調を行いやすくするという点にあります。といっても、前回紹介したような転調したまま曲が進行するようなやつではありません。1フレーズだけの部分的な転調に使用できることです。(そこから転調したまま曲を進行させることもできます。)

 

どういう意味じゃい・・・と思いますよね。要は曲にノンダイアトニックコードを取り入れて、インパクトを与えたい場合にトゥーファイブが使用されやすいということです。

 

トゥーファイブはとても奥が深く、理論だけでは上手く説明が出来ないので、実践して覚えていくことが一番だと思います。
例えば、CHEMISTRYさんのYou Go Your Wayという歌のサビを聞いてみてください。

 
 

この曲はキーC♯の曲なのですが、サビのコードに注目しましょう。「思いは思いはのままで、熱を失うだけ」の部分のコードが以下のようになっています。(1分33秒~)

熱  を    う しなう  だけ
Cm7♭5   F7      B♭m

 

実は、ここでトゥーファイブが使われているのです。
「え、トゥーファイブって、Ⅱm→Ⅴ7→○の進行でしょ。キーC♯の曲ならD♯m→G♯7→○じゃないの?」
確かに、キーC♯で考えるとそれが正しいです。

 

しかし、解決先のB♭mを基準に考えたとき、Cm7♭5→F7→B♭mの進行はトゥーファイブになっています。つまり、一瞬だけキーB♭に転調しているのです。

 

これが、トゥーファイブの真骨頂です。解決先のコードがわかっているとき、そのコードの前でトゥーファイブを使用することでノンダイアトニックコードを取り入れているのです。もう一つ事例を見てみましょう。アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』EDであるハレ晴レユカイのサビを聞いてみてください。

 

サビでは、トゥーファイブがふんだんに使われております。(48秒~)

アル晴レタ  日ノコ     ト    魔法  以上の ユカ イが  限りなく  

F        Em7♭5   A7    Dm7   Cm7     F7    B♭   

 

 

このワンフレーズだけでも2回つかわれております。気づきましたか?

 

アル晴レタ  日ノコ     ト    魔法  以上の ユカ イが  限りなく 

F        Em7♭5   A7    Dm7   Cm7     F7    B♭  

 

青が解決先のコードで、赤がトゥーファイブの部分です。青のコードを基準に考えたとき、確かにトゥーファイブの進行になっていますよね。コード進行が難しく感じた場合でも、意外とトゥーファイブが使われているパターンは多いのです。

 

 

トゥーファイブは、既存の曲を自分でアレンジしたいと思った時にも活躍します。解決先のコードに向けて、トゥーファイブを行うだけです。それだけでインパクトを与えることができます。Aに解決するならG♯m→E7を仕込む、F♯に解決するならFm→C♯7を仕込む・・・こんな感じで仕込んでいくだけで、ジャズチックというか大人の雰囲気みたいなのを出すことが出来ます。

 

覚えるのも大変ですし、実践で使えるようになるにはそれなりの練習が必要になると思います。その分効果は絶大です。ばんばんアレンジできるようになります。是非、頑張って習得してみてください。

 

実践的なアレンジや使い方はこちら


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